お盆のきゅうりとなす

 先日、お盆の用意のため実家に行った。盆提灯も出して飾った。
 帰り際に、母が、「昔はお盆には、ご先祖様が迷わないようにと玄関先に提灯を掲げたものだが、最近はやっている家はほとんどないねえ。それと、きゅうりとなすで動物を作って供えたもんだ。きゅうりは馬、なすは牛で、ご先祖様が家に戻ってくる時は、馬に乗って早く来て欲しい、帰る時は牛に乗ってゆっくり帰って欲しいって言う意味があるんだ。知っとった?」と。
 84歳の母が、61歳の息子に、まるで小学生にするかのように説明するのは滑稽だったが、ああ、こんな風習も無くなっていくのだなあとしみじみ思った。

 コロナ禍で帰省ができずオンライン帰省も良いが、たとえ故郷に帰れなくても、ゆっくりとした時間の中で故郷の人たちのことを思ったり、亡きご先祖の思い出話しをしたり、子供がいれば一緒にきゅうりとなすで馬と牛をつくってお盆の意味を考えたりするのも良いのではないかと思う。 
 また、触れ合う実感がない画面越しの対面よりも、手紙を一通したためて、近況報告や日頃の感謝を伝えた方がよほど心が繋がるのではないかと思う。

(ところで、私の父は馬や牛にうまく乗れるのだろうか? ちょっと心配だ・・・)